医療法人の解散
コラム Column:2014年6月11日
医療法人の解散
医療法人の解散は、理事長院長先生が高齢に伴い引退する、また体調を崩されたり急逝した際に、後継者が見つからなかったときに行われます。
しかし、行政は簡単には解散を認めてくれません。
理事長と直接面談を行い、解散の理由や後継者を探した経緯などの詳細を確認したうえで、やっと解散の行政手続に入ることになります。
手続きは、まず、解散認可申請を行い(認可申請書の提出前に、申請書案を先に提出して審議を行うのが通常です)、認可が下りたら、解散と清算人就任の登記申請を行います。
その後、官報に解散公告を3回掲載して、債権者の出現を待ちます。
その間に清算手続きを行い、1回目の公告後2ヶ月以降に清算結了の登記申請を行い、最後に認可庁に清算結了届書の届け出を行って、一連の解散手続きは完了します。
解散の協議を認可庁と開始してから、約1年もかかります。
当事務所が昨年行った解散手続きでは、平成24年12月から認可庁との打ち合わせを始めて、清算結了したのが、本年3月中頃になりました。
現在行っている解散手続きも、本年2月から認可庁と打ち合わせを始めて、清算結了予定が来年3月になります。
このように、医療法人を解散するには、時間と手間がかかります。
最近発表された帝国データバンクの調査に、「医療機関の休廃業・解散動向調査(2014年6月9日)」(帝国データバンクHPへリンク)というものがあります。
これによると、
- 都市部の「診療所」「歯科医院」は競争が激化しており、医療機関の休廃業・解散件数が増加傾向にある。これに加え、開業医の後継者難や代表の高齢によって廃業や撤退を余儀なくされる病院が少なくない。
- 2013年度に休廃業・解散した医療機関は303件。集計を開始した2006 年度以降で最多となった。
- 代表年代別では「70代」が最多。「80代以上」と合わせると約半数を占めており、代表の高齢化・事業承継問題が深刻化している。
ということです。
当事務所にも、解散や承継のご依頼が多くきていますが、この調査結果がその裏付けになりました。
ご高齢になって体調を崩されてから、また親族の方が医療法人を解散するのは、とても大変なことです。
できれば、少し前から後継者を探して、円滑に医療法人を承継できるように準備しておきたいものです。
なかなか適任の方が見つからないこともあると思いますが、よろしければ一度ご相談ください。医療法人の承継について、または解散について、ご相談に応じます。